2005年10月 5日 (水)

私は営業なので詳しくは判りません

設計図書の閲覧にモデルルームに伺うと、挨拶代わりで発せられる先制パンチ。建物の詳細なことを質問されても、「答えられない可能性があります」という常套トークだ。
首都圏で展開しているデベロッパーのモデルルームにはほぼ伺っているが、営業担当者のほとんどはそうおっしゃる。

多くのデベロッパーは、モデルルームを国道沿いの自動車ディーラーのような、都会的で洗練された雰囲気を目指した時代があったが、現在では完全に並び、そして追い越したといえる。現在では都心部、特に湾岸地域のモデルルームの造り込みは明らかに過剰気味。プレハブで展開されるバーチャルイルージョンは、さながら万博のパビリオンのようだ。

デベロッパーがかつて目指した自動車ディーラー業界は、すでに多様化した顧客のニーズに対応している。整備出身のサービスマンをフロントに置き、彼らが顧客の専門知識に応えるのは今や常識なのだ。追いつけ追い越せでここまできたマンション業界、圧倒的な違いはここにある。早晩、モデルルームとパンフレットだけで売り抜ける時代は終焉を迎える。現場の営業担当の多くもそう感じているようで、あるデベロッパーの社員は「ここ最近、設計図書の閲覧や、専門的な質問を投げかけてくる方が圧倒的に増えた」という。

専門知識を持ち始めたユーザーと、旧態依然の営業担当。この隔たりは乖離していく一方だ。危機感が足らなすぎると言わざるを得ない現状を、改善する気持ちはないものだろうか。

片やユーザーの意見はこうだ。
「物件は気に入っているが担当が気に食わない」
個人のパーソナリティーの問題か、会社のスタンスなのかは知る由もないが、私達の依頼者の多くはこのような印象を持っている。

タレントを起用した煌びやかなモデルルームも結構だが、設計図書をきちんと揃え、スキルの高い営業担当を配置するのはそんなに難しいことなのだろうか。

私は営業なので詳しくは判りません

答えられない質問があったっていい。回答する姿勢から挽回することはいくらでも可能だからだ。百歩譲って、私達のような専門家に向けた一言なら構わない。しかし、ユーザーに発したこの先制パンチがどれだけ恥ずべき、どれだけユーザーを落胆させているのかを認識していただきたいものだ。

私がマンションを買うとするなら、設計図書が閲覧できない物件、質問に全く答えられない担当がいる物件は、決して選択しない。

10月 5, 2005 マンション検討 | | コメント (0) | トラックバック (0)